Sufjan Stevens 「Javelin」
この商品のレビュー
生涯の感情が織り込まれた傷と希望の情景『ジャヴェリン』
『Javelin』は、2020年の『The Ascension』に続くヴォーカル入りのソロ・アルバムで、2015年の『Carrie & Lowell』以来となる完全なシンガー・ソングライター・モードでの作品だ。アルバム全体、また、収録される1曲1曲の中にまでも、Stevensの25年のキャリアが完全に詰まっており、彼のこれまでの全てのアプローチの架け橋となる傑作だ。
『Javelin』は、時折、大所帯でのアルバム制作のような雰囲気を持っているが、それは明らかに違う。確かに、70年代のロサンゼルスのスタジオの豪華さが感じられるところもあるが、ここにあるほとんど全てのサウンドは、Stevensが1人で自宅において作り上げたものだ。また、adrienne maree brown、Hannah Cohen、Pauline Delassus、Megan Lui、Nedelle Torrisiといった親しい友人たちが多くの曲でハーモニーを奏で、Bryce Dessnerは「Shit Talk」でアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターを弾いている。もちろん、Neil Youngが優しく神秘的なアルバムのクローズ「There's A World」を書いた。
The New York Timesが「絶望の叫びと救済への祈り」と絶賛した『The Ascension』では、華麗でありながら切迫したエレクトロニクスを駆使して、Stevensはその瞬間を整えた。対して『Javelin』は、セルフポートレートのように始まり、細部まで描かれていながらもプレインである。これは、Stevensにとって最も親密な作品であり、『Seven Swans』や『Carrie & Lowell』を思い起こさせる。
Sufjanのエモーショナルな世界観は『Javelin』の隅々にまで浸透しており、アルバムに付属している48ページのアート・エッセイ集は圧巻である。綿密なコラージュ、カットアップされたカタログ・ファンタジー、パフペイントされたワード・クラウド、反復するカラー・フィールドの数々により、Sufjanは一見カオスに見えるものから秩序を構築し、その逆もまた然りである。その中ほどには、面白かったり、悲劇的だったり、痛ましかったり、鈍感だったり、明確だったりする、Stevensによる10編の短いエッセイが収められている。そこから、彼自身、ひいてはこれらの楽曲を形成してきた愛と喪失を垣間見ることができる。『Javelin』では、あなたが最もよく知るSufjanが戻ってきた。Sufjanは、私たちが自分自身をより完全に見ることができるよう、苦悩しながらも美しい彼自身をこの作品で垣間見せてくれるのだ。
【Track List】
01. Goodbye Evergreen
02. A Running Start
03. Will Anybody Ever Love Me?
04. Everything That Rises
05. Genuflecting Ghost
06. My Red Little Fox
07. So You Are Tired
08. Javelin (To Have And To Hold)
09. Shit Talk
10. There's A World
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