滝沢朋恵 「AMBIGRAM」
この商品のレビュー
浜田真理子『mariko』(1998)から四半世紀、
2023年暮れ、滝沢朋恵『AMBIGRAM』が登場する。
震える声、儚く美しいメロディ、歌心に満ちたギター、イマジナティヴなサウンド。
一枚のアルバムが、音楽の歴史に刻まれる。
− 佐々木敦(HEADZ)
幾何学模様のレコーディング・エンジニアやライブPAとしても知られるツバメスタジオ主幹の君島結が録音、ミックス、マスタリングを手掛けたサッドコアでアシッド・フォーキーな2018年12月発売の3rdアルバム『amphor』(WEATHER 075 / HEADZ 234)の発売後、(2019年より)活動拠点を東京から地元の北海道に移した、シンガーソングライターの滝沢朋恵。
今年9月に八丁堀の七針で開催した、Pot-pourriのSawawoとRyo Nagai a.k.a. 液晶の二人によるユニット、Pot-pourri [SNR]とのツーマン・イベント(葯4年振りの東京でのライブ)が予約時点で満員となり、最新のライブ・パフォーマンスが大評判となった、滝沢が約5年振りの新作アルバム『AMBIGRAM』をリリースします。
テンテンコや柴田聡子とのデュオ、角銅真実や網守将平のアルバムへの参加等、年々注目度が高まっていたにも拘らず、近年の活動はコロナの影響もあり、ほぼ休止状態になっていましたが、昨年後半より着々とアルバム制作の準備を始め、今年の夏場より本格的に制作が始まりました。
アルバムのアートワークは話題のアーティスト、佐貫絢郁が担当し、滝沢のバンド・ライブではお馴染みの(大友良英スペシャルビッグバンド、蓮沼執太フィルのメンバーとしても知られる)イトケンがドラム& パーカッション、NRQの吉田悠樹が二胡、元吉田ヨウヘイgroup、現THE RATELのメンバーで、スピッツのレコーディングから現代音楽/実験音楽まで幅広く活動する池田若菜がフルート、NEWFOLK発の話題のバンド、山二つのフロントマン、鈴木健太(滝沢の前々作『a b c b』には朗読で参加し、前作『amphor』ではCDジャケットのデザインを担当)がヴォーカルで参加しています。
アルバムの録音、ミックス、マスタリングは、映画音楽やTVドラマの音楽でも手腕を振るい、近年では、浮『あかるいくらい』の録音・ミックス・マスタリングや、フリーボの1stアルバム『すきまから』のアナログ盤用のリマスタリングを手掛けている(その評判もあり、アナログ盤用のリマスタリングを多数手掛ける)、宇波拓(HOSE、ホンタテドリ 、かえる目のメンバーとしても知られる)が担当しています。
宇波は、エンジニアリングだけでなく、楽曲の追加のプロダクション(エレキ・ギター、ベースや鍵盤系も)も担当し、滝沢のオリジナリティ溢れる楽曲やアレンジを、新たなサウンドに仕上げております。
滝沢のデモのアレンジをベースに、滝沢の音楽リスナーとしての好奇心旺盛さを反映してか、挑戦的かつ遊び心溢れる、突飛(想定外)なアイディアを宇波にお願いし、宇波がそれに十二分に応え、滝沢のイメージをアップグレード、もしくは刷新するようなサウンド・プロダクションで具現化しています。
滝沢朋恵史上最もポップな印象のアルバムでありながら、これまで以上にSSW然とした歌とメロディーが際立った非常に素晴らしい作品となっています。
【Track List】
01. 春風
02. 交信
03. sirar
04. グッドバイ
05. 雪灯
06. リンドウ
07. duda
08. まほう
09. 数え歌
10. しんきろう
11. ラッコの貝
12. 白い花
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