Kristian Blak & Yggdrasil 「Travelling」
この商品のレビュー
実はこのアルバムを私は気に入りまくっている。日本の子守歌にも通じる懐かしさや親しみを感じるメロディ、フォーク・ソングのトラッド感、あまり聞いたことがないような神秘的なエスニック感。そして美しバイオリンやピアノが、どことなくクラシカルでアンビエント。そうかと思うとモダン・ジャズ調になったり、ギターのディストーションがロックだったり、前衛チックになったり・・・。ハーモニーの付け方もなにげにアイスランドのトラッドとも似ていて(つまりは北欧風味)、聞けば聞くほどバラエティ豊かな表現や細かな音の作りに引き込まれ、あちこちに楽しい驚きが沢山埋め込まれていて、それを発見するのが面白くて仕方がなくなってしまった。
シンプルで、モダンで、懐かしさを親しみを感じるメロディとハーモニー満載で、本当に美しいアルバム。これがフェロー諸島の典型的音楽ではないけれど(ビョークやシガーロスもアイスランドの典型的な音楽とは言えないのと同様に)、これほどクリエイティビティに溢れた素晴らしいアーティストが存在するということを体験できるということだけでも、本当に価値のある一枚。ものすごくお勧めします。(小倉悠加)
以下、CDの解説の抄訳。
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『Travelling』は9編のエピソードから成り立ち、物語はまず海から始まり、陸に移り、それが空に舞い上がり、再び海に戻っていく。どの物語も神秘主義やシャーマニスティックな旅。
1. Umiaq(Boat) グリーンランド北部チューレ地区のQaanaaqのドラムダンスのフレーズにインスパイアされた曲。イヌイットの神話では、彼らのカヤックのようなボートは、空を飛べたそうだ。
2.Horse オーディが首を吊った木は、宇宙樹に他ならない。のユグドラシルのYgg(Odin)の馬ことで、Sleipnirはのオーディンの軍馬で、八本足であり、様々な意味で完璧な馬だったという
3. Swan 1957年にオーストラリアのLise and Carl Weismannにより作られたblack swansのレコーディングも含んでいる。
4. Wind 南アメリカはMapuche(マプチェ)のメロディも風に乗っている。
5. Goyaale 1906年ナタリー・カーティスにより収集されたアパッチ・チーフ、ジェロミノが歌う祈祷のメロディに基づいた作られた曲。ジェロミノの言葉は「これから私が歌うのは誰が作ったかもわからないほど古い歌だ。世代を超えて口述で伝えられ、私もこれを子供の頃に教えられ、今やこれが私の歌になっている。私の歌だ。神聖な歌、祈祷の調べ、偉大な力を持つ。この歌は、私がどのように空を抜けて、Yusum(という最高の存在)が私に素晴らしいことをする力を与えてくれる場所へ行くかが語られる。周囲を雲に囲まれ、空を抜けるうちに私は魂だけの存在に変貌していく。」Goyaaleとはジェロミノのアパッチ名だ。
6. Raven このアルバムのカバーは「Shaman Travelling by Night」で、NuuavutのアーティストLipa Pitsiulakのヴィジョンを、プリントメイカーのJolly Atagooyukがエッチングで描いたもの。
7. Feather
8. Trout アイスランドの歴史学者であり詩人であったスノッリ・ストゥルソンは、オーディンが彼の意志によりいかに形を変えることができたかをこう説明する「彼の身体は眠っているか死んでいるかのように横たわり、その姿を鶏か、野獣か、魚か、はたまたドラゴンかに変貌させ、一瞬にして遠くの地へ行ってしまった」
9. Quajaq William Thalbitzerにより1906年に東グリーランドで録音された、Ajukutooqの歌唱による伝統的なイヌイットのカヤック・ソング。この音源はデンマーク・フォーク・アーカイブの理解のもとに使用。
ThalbitzerはAjukutooqの歌詞をこう訳している:
家を出て、開けた場所へ行くと、心が躍る
海の中へ出ると、心が躍る
天気がとてもよければ、心が躍る
空がきれいに晴れれば、心が躍る
それが続きますよう アザラシ捕りのために!
それが続きますよう 狩のために!
それが続きますよう この歌に見合うように!
それが続きますよう 私のドラム・ソングのために!
Yggdrasil (ユグドラシル)とは北欧神話に登場する世界樹のこと。木の上には賢い鷲が住み、その根は地下世界までつながる。その木に毎日水をやって育む者と、木をむさぼる蛇等、そのバランスが世界感となっている。
「ICELANDiaショップから商品説明を転記」
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