Hana Vu 「Public Storage」
この商品のレビュー
グランジからニュー・ウェイヴまでを横断し、メランコリックで内省的ながら、現代の孤独に寄り添うような心を揺さぶるエモーショナルなサウンドが心を鷲掴みに。
Storage=倉庫には、外界から一時的に隔離された所有物や、時間や場所を再び結びつけることができるオブジェが収められている。ハナ・ヴーは、引っ越しが多く、家族でロサンゼルスの公共倉庫=Public Storageを定期的に利用しながら育ったようで、それがこのアルバムのタイトルの由来となっている。数年ごとに引っ越しをしていたので、神聖なものと日常的なものが混在し、コンクリートやスチールの中に置かれていたと言い、現在21歳のミュージシャンである彼女は、曲を作ってリリースするという芸術をそれと同じような意味で捉えている。
Ghostly Internationalと契約してのニュー・アルバムとなる本作を書き始めたとき、彼女はそのような建物(Public Storage)の隣に住んでいた。その建物のそびえ立つような存在感は、このアルバムのサウンドが、ベッドルーム・ポップを飛び越えはるかに大きなスケールになっていることを暗示している。ドライヴィンなギターのポップ・ソングのエモーショナルな動産は、公共倉庫に散らばる様々な箱を表している。それらの箱は、元々はそれぞれ一人の人間のものであったが、置き去りにされたことによって、1箱ごとに陰鬱な内省のトーンを与えている。彼女はアルバム全体を通して、記憶、ムード、想像上のシーンを、主体性・カリスマ性・信念を持って積み上げたり、崩したりしながら、人間の内的な世界を掘り起こしている。
正式なフル・アルバムとなる今作は、初期作品のサウンドをベースにしつつ、ソングライターとしての彼女の強みを、さらに鮮烈に洗練している。自ら「とても侵略的で強烈なサウンド」と称し、現代のトレンドとは一線を画しており、音に身を任せるのではなく、共に関わるべき音楽であるという。また、このアルバムでは、初めて共同プロデューサーにDay WaveことJackson Phillipsを迎え、Jacksonはヴォーカルを伸びやかに拡張し、壮大で粒立ちの良い多面的な世界の創造に貢献している。
【Track List】
01. April Fool
02. Public Storage
03. Aubade
04. Heaven
05. Keeper
06. Gutter
07. My House
08. World’s Worst
09. Anything Striking
10. Everybody’s Birthday
11. I Got
12. Maker
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