Chris Cohen 「Paint a Room」
この商品のレビュー
Chris Cohenはいつも物静かな子供だった。実際、この内向的な性格が、彼が幼児期に音楽を始めた理由のひとつでもあった。言葉を発せずにコミュニケーションをとり、言葉で直接表現することなく他者と共感するためである。それは、Cohenが大所帯のDeerhoofや自身の魅惑的なアート・ロック・アクトであるThe Curtainsで活躍し、Weyes Blood、Kurt Vile、Le Ren、Marina Allenなどのプロデュースやセッションに参加したことでも証明されている。しかし、5年ぶりのアルバムであり、Hardly Artからのデビュー作でもある『Paint a Room』ほど、Cohenが直接的に歌った作品はない。以前は自らがひとりで作り上げた四角い音楽層の中に潜んでいたとすれば、ここでは初めてリアルタイムで演奏するバンドによって生き生きと強調され、新たに明瞭に響いている。アルバムで、Cohenの音楽は暖かな春のそよ風のように感じられる。一方、まるで目に見えない嵐の雲から吹いてくるような、重いものを抱えていることも多い。『Paint a Room』は、現実を直視すると同時に、夜の散歩や隣人の風鈴が想像力を無限にかきたて、心を遊ばせる空間を提供するような、もうひとつの現実を思い起こさせる。収録される10曲は、古い苦境から抜け出す夢のような新しい方法を考えさせ、問題を明確に提示。結果、新しい場所への道を踊り歌う。アルバムでは、Jeff Parkerが「Damage」でたゆたうようなホーン・アレンジを提供しているほか、ParkerのコラボレーターであるJosh Johnson(Meshell Ndegeocelloのグラミー賞受賞アルバム『The Omnichord Real Book』のプロデュースを担当)が、フルート、サックス、クラリネットのアレンジを全編にわたって提供している。
【Track List】
01. Damage
02. Paint a Room
03. Sunever
04. Cobb Estate
05. Laughing
06. Wishing Well
07. Dog's Face
08. Night or Day
09. Physical Address
10. Randy's Chimes
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