Grace Cathedral Park 「histoires de roches」
この商品のレビュー
Grouperや青葉市子、さらにはCocteau Twinsにも通じるようなアンビエント/ドローンと歌モノとを接続した音像、Joni Mitchell、Linda Perhacs、Jessica Prattらの影響を感じ取れるアシッド・フォーク的な感触は前作から一貫しているが、今作ではその音楽性はより一層拡張され、呪術的な夢幻性を獲得している。
ガットギターやインド古来のドローン楽器シュルティボックス、フィールドレコーディング等を新たに導入した本作は、Anne BriggsやPentangle、Shirley Collinsらのトラッド・フォークやMeg Baird (Espers)、Adela Medeのようなエクスペリメンタルなドローン・フォークを強く感じさせるものとなっている。
他方で、ときにバンド名の由来となったRed House Paintersを彷彿させるようなスロウコアやカントリー、ノイズギターまでもが炸裂する本作に、多様な音楽的背景や実験精神を嗅ぎ取ることは難しいことではない。
しかしながら本作の強みは、こうした多様な背景を持ちつつも、歌モノとしての強度を保ち、バンド独自の雰囲気を纏っている点にある。聴くものを捉えて離さない反復的な旋律は、次第に呪術的でおまじないのような性格を帯びはじめる。
「岩に宿る、声なき声の多層的な響きに耳を澄ませ、今・ここに〈歌〉を現出させる」というテーマで制作されたという本作は、まるで失われた古代の歌が、残響豊かな音像の中で新たに甦ったかのような様相を呈している。
本CDは、自身アンビエント/ドローン系のアーティストとしてVAAGNERや時の崖といったレーベルからリリースし、音楽批評家としても活動するよろすず(aka Shuta Hiraki)氏によるライナーノーツ付!
【Track List】
1. appel
2. melusine
3. nubatama
4. tapisserie
5. a land
6. epave
7. rappel
8. birth
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