LINDSTROM 「SMALHANS」
この商品のレビュー
エレクトロやインディー・シーンとも共振しながら世界的な広がりを見せる「ディスコ」音楽の、イジャット・ボーイズらUK勢と並ぶ、ひとつの大きなオリジナル震源地として今や世界的にも熱視線を浴びているノルウェーのコズミック・シーン。
プリンス・トーマスやマンゴリアン・ジェットセット、トッド・テリエら、精鋭たちと共に、少数ながらも極めて濃密なシーンの一角をなしつつ、プロダクション・レンジの幅広さや話題性(ロキシー・ミュージックのリミックスやトッド・ラングレンとのコラボなど)において、間違いなく、そのトップに君臨するのが、このリンドストローム。
『イッツ・ア・フィーデリティー・アフェアー』から前作『シックス・カップス・オヴ・レベル』に至るまで、これまでも、「ディスコ」の核を維持しながら、アルバムごとに様々な異なるスタイルを提示、単なるダンス・ミュージック・プロデューサーの域を越えた奥深いサウンドで、多くの音楽ファンを魅了してきました。
そんなリンドストロームが、わずか1年にも満たない、極めて短いスパンで新作『スマルハンス』を完成させました。今回は、何とトッド・テリエが全曲でミックスを担当。『シックス・カップス~』の録音が終わってまたすぐにスタジオ入りして作り上げた、というこの新作は、前作とは真逆に振れた、全くストレートなダンス・アルバムとなっています。
既にシングル・カットされ、世界中のダンス・フリークスたちを乱舞させている「R-k-st」(M1)や、春のメタモルフォーゼでもイチ早く披露されその破壊力も確認済みの「Vossakorv」(M4)を筆頭に、いずれも、芯の太い、豊饒なテクスチャーに彩られた、稀に見る極彩色のコズミック・ディスコ・サウンドが目白押し。かつてのヒット曲「I Feel Space」や「Breakfast In Heaven」のように、ストレートにフロアに向き合いながらも、出音は格段にブラッシュアップ、しかも、そこにトッド・テリエの魔法の手が加えられ、全ての楽曲が、非の打ちどころのないパーフェクトなクラブ・トラックとなっています。
アルバム・タイトルの『Smalhans』とは、ノルウェー語で「欠けていること、不足していること」などの意味があり、各楽曲のタイトルも、「あまりスパイスを多用しない」というノルウェーの料理にちなんで、名づけられているそうです。「R-k-st」は生野菜、「Vossakorv」は羊肉のソーセージなのだとか。アルバムも「手を加えない、生のままのビートを意識した」とのことで、古くからのファンにとっては、まさに待望の、そして新しいファンには、彼の原点を改めて確認することのできる、いずれにしても素晴らしい作品となっております。
国内盤のみボーナストラック3曲収録、日本語解説(text by 小野田雄氏)封入
01. Raakost
02. Lammelaar
03. Eggedosis
04. Vossakorv
05. Faarikaal
06. Vafler
07. Vossakorv Fred Falke Remix
08. Raakost Todd Terje Edit
09. Eggedosis Todd Terje Edit
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