David Lynch 「The Big Dream」
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新作でのリンチは、曲を書いて歌うという原点に立ち返り、アルバム収録の13曲中12曲を自らが書いている。唯一自らが書いていない曲は、ボブ・ディランのフォーク名曲『The Ballad of Hollis Brown』をリンチ流にカバーしたもの。『THE BIG DREAM』は、リンチ自身の音楽スタジオ、〈アシンメトリカル・スタジオ(Asymmetrical Studio)〉にて、数ヶ月間のレコーディングを経て完成され、前作に続き、エンジニアを務めたディーン・ハーリーが、プロデュースやアレンジでも貢献している。
自らの音楽スタイルを"モダン・ブルース"と称するリンチによると、新作の作曲プロセスはデビュー作のそれと近いものだったという。「大半の曲はブルース・ジャムのようなものから始まり、そこから逸脱していく。その結果生まれるのが、ハイブリッドでモダナイズされた陰鬱なブルースなんだ」
『THE BIG DREAM』は、CD/LP/デジタルのフォーマットでリリースされ、その全てにダウンロード可能なボーナストラックとして、スウェーデンのシンガーソングライター、リッキ・リーをフィーチャーした「I'm Waiting Here」が追加される。重量盤仕様の2枚組LPには、リッキ・リーのトラックを収録した7インチのボーナス盤が封入され、さらにそのB面にはリンチが彫ったエッチングが施されている。リンチはリッキ・リーのことを、詞やメロディの優れたセンスを持った生まれながらのソングライターと絶賛する。「彼女はこの曲に自分のスタイルをもたらしている。ドゥーワップの雰囲気が漂っているものの、それはある意味'50年代のものとは大きく懸け離れているんだ」
巨匠映画監督が手掛ける音楽への期待に違わず、収録曲はいずれも隅々まで映画的である。リンチは、独特のリヴァーブをたっぷり効かせたギターや加工されたヴォーカルを用いて、彼の映画作品のファンにはお馴染みの、個性的キャラクターが息づく不思議な世界を描き出すムードやメロディを紡ぎ出している。例えば「Star Dream Girl」に出てくる抗しがたいファム・ファタール(魔性の女)、「The Big Dream」や「Are You Sure」における繊細なロマンチスト、「Say It」の人当たりの良いサイコパス(狂人)、そして「Sun Can't Be Seen No More」での何をしでかすか分からない変人などがそうだ。
01. The Big Dream
02. Star Dream Girl
03. Last Call
04. Cold Wind Blowin'
05. The Ballad of Hollis Brown
06. Wishin' Well
07. Say It
08. We Rolled Together
09. Sun Can't Be Seen No More
10. I Want You
11. The Line it Curves
12. Are You Sure
13. And Light Shines ( Bonus Track - Japan Exclusive ) + I’m Waiting Here with Lykke Li ( Download Bonus Track - Worldwide )
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