Martyn 「The Air Between Words」
この商品のレビュー
本作『The Air Between Words』は、〈Brainfeeder〉からリリースされ称賛を浴びた2ndアルバム『Ghost People』と比較すると、サウンド面では、原点回帰と言ってもいいくらい、パーカッシブ感とミニマル感がより印象度を増している。それでいて、プロデューサーとしての新たな方向性を示すように、トラック一つ一つは、マーティンの音楽スタイルを異なる方向へと押し広げている。
最大の注目点は、かねてより親交の深いフォー・テットことキーラン・ヘブデンの参加だろう。コラボ・トラック「Glassbeadgames」は、重厚なキック、UKガラージ的なパーカッション、そして重低音によって生み出されるグルーヴが、フォー・テットらしいどこかメランコリックなメロディと絡み合いながら壮大に展開していく8分越えの大作となっている。「Love of Pleasure」では、ハイプ・ウィリアムスのメンバー、でインガ・コープランド名義での活動で知られるコープランドをフィーチャー。
彼女の繊細なヴォーカルが、ディストーションのかかったピアノのリフとシンセサウンドを切り裂くように響き渡り、このトラックを境にアルバムは、〈WARP〉黎明期のスウィート・エクソシスト、LFO、オウテカらを彷彿とさせる、ストイックなまでに捻りを効かせたテクノ・サウンドへと展開していく。
フォー・テット、コード9、マーク・プリチャードらと共に、クラブ・シーンの重鎮として最前線で活躍するマーティン。このアルバムが証明するように、彼はダンス・ミュージックの歴史と遺産をリファレンスとして巧みに取り込みながら、その目線は常に未来を見据えている。本作『The Air Between Words』は、クラブ・ミュージックがいかにして繁栄し続け、これからも進化していくのか、そしていかに挑戦的であり続けなければならないかという重要なステートメントを発信する傑作だ。
[Tracklist]
01. Forgiveness Step 1
02. Glassbeadgames (with Four Tet)
03. Empty Mind
04. Drones
05. Love of Pleasure (with copeland)
06. Two Leads and a Computer
07. Forgiveness Step 2
08. Like That
09. Lullaby
10. Fashion Skater
11. Forgiveness
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