1983 「golden hour」
この商品のレビュー
1980年代生まれの東京発5人組シティポップ楽団「1983」。
1年ぶりのセカンドアルバムはサニーデイ・サービス、くるり、キリンジ、など90年代邦ロック黄金時代の豊穣さを受け継いだ新たな代表曲「文化の日」を筆頭に、平賀さち枝、小林うてな(D.A.N.Tropical Support)、ユミコ(YankaNoi/トクマルシューゴ)、ポニーのヒサミツ、増村和彦(ex-森は生きている)等メンバーそれぞれの音楽活動で出会った仲間たちをゲストに迎え、極めて純度が高く清涼感のある日本語ポップスを精製。名門アビーロードスタジオでのマスタリングを経て、人生のBGMとも呼べる強度を携えた作品が完成した。
「キリンジの三男坊」とも称されるボーカル関の甘くジェントルな歌声と文学的な歌詞、Pitchfork以降のブラックミュージックマナーを踏まえつつ模倣に終わらないソングライティング、オールアメリカンルーツミュージックを起点にジャズ、ラテン、クラシックなど多岐に渡る音楽偏愛に裏打ちされた洒脱で華やかなアンサンブルなど、2016年の今ちょうど聴きたい日本語ポップスが詰まった、まさに彼らの才能が開花した作品だ。
特に冒頭を飾る「文化の日」は、奥田民生が『FAILBOX』で到達した黄金のレイドバック感、スピッツに通底するレクイエム的な歌詞世界を併せ持つ、バンドのひとつの到達点とも言える大名曲。
また、ホーンとシンセの煌びやかな音色と小林うてなのブリージーなコーラスのコントラストが最高に気持ちいいサマーチューン「Summer Mirage」、ホセ・ジェイムズmeetsホセ・アントニオ・メンデスな「feelin」、平賀さち枝をゲストに迎えオーボエ、ファゴットを含む7管+パーカッションを加えたラテン薫るフロア対応のチェンバーポップス「Windy」など各楽曲の彩りも豊かで、アルバム全体を通して飽きさせない内容となっている。
エンジニアには、もはや6人目のメンバーといっても過言ではない盟友・馬場友美。マスタリング・エンジニアには、これまでビートルズのリマスタリングを始め、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやルーファス・ウェインライトなどの作品、レディオヘッドやアニマル・コレクティブのアナログカッティング監修も手がける名門アビー・ロード・スタジオのAlex Wharton氏を起用。アートワークは前作に引き続きchanson sigeru。
「1983」が繰り広げる心地よいパーティタイム「golden hour」。
実際に80年代から90年代を知る彼らだからこそ創ることができた、バンドの創作活動の充実ぶりを感じさせる名作の予感です!!
【Track List】
1.文化の日
2.Summer Mirage
3.feelin
4.Lameduck
5.Courtyard
6.ロデオの新恋人
7.In To The Gold (part.2)
8.Windy(album ver.)
9.南アフリカ(仮)
10.Emerald City
11.12AM
12.誕生会
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