Thundercat 「Apocalypse」
この商品のレビュー
喪失と再建を描いたという本作『Apocalypse』は、何かを取り戻そうという試み、そして最終的に再び地に足を着けていることを実感する明快な瞬間を捉え、聴く者に強く訴えかける。豪華な経歴が物語るように、多くのミュージシャンたちからも厚い信頼を得ている彼の作品には、やはり超一級のミュージシャンが参加している。エグゼクティヴ・プロデューサーを務めたフライング・ロータスはもちろん、元マーズ・ヴォルタのドラマー、トーマス・プリジェン、スタンリー・クラーク・バンドのメンバーとしても活躍するグラミー賞受賞ピアニスト、ルスラン・シロタ、ジョン・マクラフリン一押しの新世代ベーシスト、アドリアン・フェロー、そしてエイドリアン・ヤングなどが顔を連ねている。またアルバム本編の最後を飾る「A Message for Austin / Praise the Lord / Enter the Void」には、坂本龍一「El Mar Mediterrani」がサンプリングされている。
ジャズ、ポップ、ソウル、エレクトロニカ、プログレッシヴ・ロック、ファンクが溶け合ったサウンドと、サンダーキャット特有のベース・プレイとが一体化し、フライング・ロータスの宇宙的な筆致と適合していく。さらにはサンダーキャット自身のヴォーカルやハーモニーが加わり、聴き手を次元を超越した場所へと導いていく。その姿勢は時代に応じて様々な音楽性を取り込み、シーンを牽引し続けたマイルス・デイヴィスやサン・ラーのそれにも通じる。
01. Tenfold
02. Heartbreaks + Setbacks
03. The Life Aquatic
04. Special Stage
05. Tron Song
06. Seven
07. Oh Sheit it's X 08. Without You
09. Lotus and the Jondy
10. Evangelion
11. We'll Die
12. Daylight (Reprise) *Bonus track for Japan
13. A Message for Austin / Praise the Lord / Enter the Void
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