Christophe Charles 「HCDC」
この商品のレビュー
本作"hcdc"は2008年に制作されジョン・ケージ研究の第一人者であるクリストフの父、ダニエルに捧げられている。
2010年にリリースされたダニエルの仕事を纏めたDVD"Nouvelle Revue d'Esthétique"の中でこの楽曲の10分間のバージョンを聴く事が出来るが、今回ついに全42分半というその全貌が明らかになった。
楽曲のマテリアルは彼の永らくの友人であるHenning Christiansenとのコラボレーション時の音素材、それから2008年に彼が行ったパフォーマンス、そして楽曲の後半にはダニエルの呼吸音もプロセスされている。
彼は、「なるべく大きな音で聴いてほしい。そうすれば音はリスナーの周囲を内へ外へ運動し始めるだろう」とこの作品についてコメントしている。
左右のパンニングはもちろん、中盤の太鼓のような音は遠くから徐々に眼前に近づき、その上に違う周期の低音が覆い被さって展開されていくところなんかは、
2チャンネルの音の奥行きの表現の限界に挑んでいるようにも聴こえる。
近年の彼の作品は超低音がとても重要な意味を持っていて、パフォーマンスの際にはいつも私物のジェネレックのウーファーを持ち運んでいる。
ウーファーをお持ちの方は、近隣に迷惑がかからない程度に、この迫り来るような電子音に思いっきり没入してほしい。
これはクリストフシャルルという類希なサウンドアーティストが初めて父親に捧げた記念碑的なオマージュ作品であるし、なによりここにあるのは圧倒的な音響体験
だ。
01.HCDC
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